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富士ヒル試走会レポート 夢追い人たち(後編)

富士ヒル試走会レポート 夢追い人たち(後編)

富士山北麓の富士スバルラインを使って開催される日本有数のヒルクライム大会、Mt.富士ヒルクライムに参戦するドリームチームは、2024シーズンで4期目を迎えた。ビオレーサー・ジャパンによるアマチュアチームサポートプロジェクトである。6月2日に行われる本戦に先駆けて、4月29日には試走会が開催され、ドリームチームの面々も参加。後編では、試走を済ませたメンバーの中から数人をピックアップし、コメントをお届けする。

※前編はこちら

「昨年のリベンジを」(ぱおみさん)

まずは、運動経験がほとんどなかったにもかかわらず、弱虫ペダルの影響でロードバイクに乗り始めたというぱおみさん。

「所属しているチームの先輩方が昨年のドリームチームのメンバーとして活躍されていて、憧れの存在である彼女たちのように私も頑張りたいと思い、応募しました。メンバーの方とは今日が初対面でしたが、顔を合わせる前からXやグループトーク上で交流を持てていたので、初対面というのが嘘のような楽しい雰囲気でした」

「ドリームチームのジャージといえば青!と思い込んでいたので、まさかのデザインの大幅変更には驚かされましたが、赤は赤でもボルドー寄りの渋い色味でとても気に入りました。着心地は伸縮性が高く、身体と一体化してくれます。通気性も最高なので汗冷え知らずなのも嬉しいポイントですね。

昨年は富士ヒル初参加だったのですが、試走で出せていたブロンズタイムを本番で出せず、悔しい思いをしたんです。自転車を始める前の私なら、思い通りにいかないとすぐに投げ出していたと思います。でも、自転車を始めて積み重ねていくことの大切さを知りました。この経験を通して、失敗にも立ち向かえるような強い人間になりたいと思っています。

目標は、昨年のリベンジ。まだまだ先だと思っていた本番の日がどんどん迫っていて緊張感が高まっていますが、これまでの成果を出せるように頑張ります。目標を達成して、普段練習を手伝ってくれている友人たちへ恩返しもしたいですね」

 

「坂が好きという原点に」(コンドルさん)

次は、乗鞍、赤城、美ヶ原などの有名なヒルクライムレースで優勝経験を有する実力者、コンドルさん。近年はレースの世界から遠ざかっていたというが……。

「元々一人で黙々と打ち込むタイプだったのですが、ズイフト等で仲間とトレーニングを共有する楽しさやメリットを知り、ドリームチームでも大会に向けて自分の可能性を高めることが出来るのではないのかと考え応募しました。

ほとんどの人が初対面だったのですが、メンバーが決まったときからトークルームが開設されたり、ズイフトで合同練習を行っていたりしたので、実際にお会いしてすぐに打ち解けられました」

「かつてはヒルクライムに熱心に取り組んでいた時期があり、富士ヒルクライムは第一回大会の年齢別クラスで優勝した思い入れのある大会です。しかしストレス等で健康面が思わしくなくなり、練習量が減ってパフォーマンスが保てなくなったことで、競技からも自転車からも足が遠ざかっていました。積み上げていくのは大変ですが、転がり落ちていくのはあっという間でしたね。

今回の挑戦は、『さぁ戻ろう、やり直そう!』と意気込んで始めたわけではないんです。そういった決意で復帰を試みたことも数えきれないほどありますが、全く戻らないパフォーマンスに落ち込むばかりでうまくいきませんでした。

今回は、気負わずツーリングやズイフトを楽しんでいるうちに自然と『走れる感触』が得られるようになり、『またレースでも出てみるか』という流れ。『自転車が好き。坂が好き』という原点に立ち返った結果だと思っています。7年ほどのブランクに加齢も加わっているので、やはり厳しいものはあります。どうしても走れていた頃の感触や数字と比べてしまいがちなので、分析以上の意識はしないようにしています。有酸素能力は積み木なので、地道に取り組んでいくしかないですね。今でも第一線で走っている同年代の仲間の存在を励みにして、あまり力まないようにリラックスして取り組んでいます」

「どん底からのヒルクライム」(はるかさん)

弱虫ペダルをきっかけに自転車にのめり込んだはるかさんは、しかし動脈障害の発症によって全く走れなくなってしまう。

「自分にとって富士ヒルは1年間の集大成です。しかし去年、外腸骨動脈の線維化症という非常に稀な動脈障害を発症してしまい、富士ヒルをはじめとする数々のイベント、レースを諦めざるを得ませんでした。

競技レベルで走れなくなっただけでなく、景色を見ながらゆっくりと山を走ることですら苦痛を伴うようになっていたので、絶望の日々でした。それまで自転車のために住む場所も変えたほど自転車中心の生活を送っていたので、自転車に乗れなくなってしまったら今後の人生どう生きていけばいいんだろう?と、どん底に突き落とされた気持ちでした」

「結局、7時間もの手術を行い、6週間のリハビリを経て自転車に復帰することができました。復帰当初は30Wを出すことが精いっぱいという笑える状況でしたが、徐々に走力を取り戻し、去年の悔しさを今年の富士ヒルに全力でぶつけたいと思っていた矢先、ドリームチームプロジェクトを知り、目標に向かって努力する仲間と切磋琢磨できる環境に身を置くいい機会だと思い、応募させていただきました。

目標は、ちゃんと走れていた頃の過去の自分のタイムを超えることです。去年の雪辱を晴らす為に、今年は全力投球していきます!」

「自転車一本でいこう」(RYOさん)

学生時代からずっとラグビーをやっていたRYOさん。数年前にスポーツとして対極ともいえるヒルクライムにはまり富士ヒルにも出場、昨年はシルバー獲得を達成した。

「ラグビーは走れないとボールに絡めないので、体力維持のためにマラソンをしていたんですが、飽きてしまって(笑)。後輩に『自転車面白いですよ』と勧められてロードバイクに乗り始めました。といっても月に100kmほど乗る程度でしたが。初めて富士ヒルに出たのは第16回大会。完走率の高いヒルクライム大会と聞き、『記念に出てみるか』とさほどトレーニングもせずに1時間51分で完走しました。そんな折、コロナ禍になってラグビーの試合が全部なくなってしまったんです。そこで一人で自転車で山に走りに行くようになり、徐々に走れるようになるのが面白くて、第18回大会にも出場してブロンズを獲得、去年は頑張って減量をしてシルバーを獲れました。そんなこんなでヒルクライムが面白くなり、これからは自転車一本でいこうと決めたんです」

「自分はラグビーをやっていたため体が大きいので、チームやコミュニティに入りづらかったんです。『なんだアイツあんなガタイで……』って思われちゃうんじゃないかと遠慮してしまって。でも、ある程度のレベルになってくると一人では伸びにくくなります。このドリームチームに加入できれば、新しい何かを得られて、夢に向かって加速できるかもしれないと思い、応募しました。

チームジャージのフルブリーズは『快適』の一言。いくら汗をかいても、あっという間に蒸発させてくれるので、肌触りは終始さらさらです。一度、暑い日に6時間ほどのライドをしたんですが、ベタつくことは全くありませんでした。

今回のメンバーの方々からは、早速多くの知識といい刺激をもらっています。今回の試走会でも、ソロクライムでは不可能な追い込み方ができました。目標はゴールド獲得です」

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