アイコンエリートロードレースエアロスーツ インプレッション/理想のフィッティング
前回インプレッションお届けしたライドロードレースエアロスーツとほぼ同時期に、ビオレーサーは新製品を発表している。アイコンエリートロードレースエアロスーツである。今回はその試用記をお届けする。ライドの2倍近い価格に意味はあるのか?
農耕民族と狩猟民族
ビオレーサーのワンピースは、今まで上から「トッププロが使うウエアのベースとなる最上位モデル、エピックシリーズ」、「性能を維持しつつ価格を抑えたアイコンシリーズ」という序列があり、先日その下にライドが追加されて3グレード展開となったわけだが、この度、真ん中のアイコンに「アイコンエリートロードレースエアロスーツ」という名の新製品が加わった。
アイコンのワンピース(アイコンロードレースエアロスーツ)は性能、耐久性、空力、価格のバランスのとれたモデルとして日本市場でも好評だが、「トップスのサイズを下げてほしい」という声があったという。
農耕民族である日本人と、狩猟民族である欧米人では、当然ながら体型が異なる。骨盤の形状と角度、脚部の骨格などの違いが生じるのだが、上半身の骨格と筋肉の付き方も違うという。欧米人は肩幅が広く、胸板が厚く、上半身の筋肉が発達しやすい。一方、日本人は肩幅が狭く上半身のボリュームが少ないという傾向にある。ベルギーブランドであるビオレーサーが欧米人向けに開発したワンピースが、日本人にフィットしないことも十分起こり得る。
日本人の体形に最適化された新作
しかし、上下でサイズを変えることができないワンピースでは、トップスとボトムスのサイズ感のバランスが重要になる。そこで、ビオレーサージャパンは日本市場向けにアイコンロードレースエアロスーツのトップスをワンサイズサイズダウンさせた「エリートフィット」を用意、アイコンエリートという製品名でラインナップに加えた。上半身が細身の日本人ライダーでもシワやバタつきを抑え、フィット感と空力性能を向上させるのが狙いだ。
ノーマル(アイコンロードレースエアロスーツ)と素材や設計は全く同じで、サイズ展開はXS~XXLの6種類。よって、
XS → トップス:XXS / ビブ:XS
S → トップス:XS / ビブ:S
M → トップス:S / ビブ:M
L → トップス:M / ビブ:L
XL → トップス:L / ビブ:XL
XXL → トップス:XL / ビブ:XXL
というサイズ展開となる。もちろんこのアイコンエリートでのカスタムオーダーが可能なほか、日本限定デザインとして2カラーをコレクションとして展開する。

コレクションのデザインは、無駄をそぎ落としたアイスグレー(右)と、深みのあるネイビーパープル(左)の2色を用意。

袖にはエアストライプ生地を採用し、整流効果によって高速域での空力性能を向上させる。

両脇には、高い通気性を持つクールマックスメッシュ素材を用いて暑熱環境でも快適なライドを実現する。

バックポケットは2分割。パッドは、快適性が高くロングライドにも適するスムーズパッドが用いられる。カスタムオーダー時のみヴェイパーパッドが選択可能だ(+1,500円)。
理想に近い
今まで何着ものワンピースを使ってきたが、このフィッティングは理想にかなり近い。「足腰はがっちりしているが、上半身が細身」という典型的な日本人体形の筆者には「トップスのみワンサイズダウン」というこのアイコンエリートがジャストフィットする。
シワになりやすい首、脇、腹部も体にぴたりと沿ってくれる。なのに締め付け感はなく、ストレスには全くならない。前回試用したライドよりトップスの生地の伸縮性が高く、かつフィッティングがタイトなおかげだろう。このフィッティングと、ビブの締め付けがないワンピース構造とが相まって、「第二の皮膚」感は随一だ。「フィット感とエアロ性能とストレスのなさ」の両立はライドより一枚上手で、ライドの2倍近い価格には価値があると思う。
主観になるが、ライド、アイコンエリートともにコレクションのデザインが洗練されたことも嬉しい。普段のライドはライドロードレースエアロスーツで、ここぞというときにはアイコンエリートロードレースエアロスーツ。今年の夏はこの組み合わせで自転車を楽しみたい。

