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ドリームチーム2025メンバーコメント/あの挑戦を終えて(vol.1)
2025年6月1日の富士ヒルの終幕をもって、ビオレーサー・ドリームチーム2025の活動が終わりを迎えた。ドリームチームの一員として富士ヒルに挑んだ半年間を経て、何を思うか。メンバー全員のコメントを3回に分けてお届けする。「数行でもいいですよ」というオーダーだったにもかかわらず、全員が熱い長文を送ってきてくれた。彼らの想いをそのままお伝えしたいと思い、変に手を入れることなくほぼ全文を掲載する。(main photo/Mt.富士ヒルクライム実行委員会)
「メンバーであることの責任と誇りが支えてくれた」(510さん)
「目標にしていたシルバーリング獲得はできず、目標タイムから大きく遅れてブロンズリングとなりました。富士ヒル出場を決め、約6ヶ月間集中的にヒルクライム特化のトレーニングをしてきて、シルバーにギリギリ届く力はついたと思っていたので、悔しいです。ただ、こんかいのチャレンジで、私は他人より高地の影響を強く受ける体質であることが分かりました。それを考慮してもっと脚力を上げなければシルバーへは届かないことが判明し、いい経験となりました。今は単なる実力不足と感じているので、ある意味清々しい心境です」
「富士ヒル初出場ということもあり、脚力差が激しいと思われる第5スタートでの出走。正直不安ではありましたが、事前にSNSで募ったシルバー目標の方々とトレインを組めることができて非常に心強かったですね。日本各地から集まったメンバーの全員が初出場で、結果的に皆シルバー獲得はならずでしたが、短い時間ながらも共闘したことで仲が深まり、嬉しい出会いとなりました」
「今まで何度か富士ヒルに出場してみようと思ったことはありましたが、子供も幼く遠方で困難なことや、『せっかく出場するならシルバー以上を目指したいけどトレーニング不足だし……』などを理由に見送ってきました。結局、そのほとんどが言い訳で、目標に向かって本気で取り組む覚悟ができていなかったんです。ドリームチームに応募したのは、チームの一員として走る憧れももちろんありましたが、『富士ヒルへ向かって努力する覚悟を決める』という意味合いも大きかったんです。メンバーに選出していただき、いよいよ逃れられない状況になり、シルバー目標への覚悟を決めました」
「覚悟が決まってからは、今まで以上に集中してトレーニングに打ち込めました。あきらめ癖があるんですが、この期間で粘り強さが身についたと感じています。遠方からの参加ということもあり、事前の活動はズイフトでのライドやSNSでの交流がメインでしたが、トレーニングログやチャット、情報交換等で刺激し合えたと思います」
「ゴールデンウィークに行われた試走会では思うような走りができず、現実を突きつけられたような感じがして、逃げ出したいほど落ち込んでいました。でも、えーぞうさんが鼓舞してくれたり、試走会後に調子を崩しながらも努力を続けるメンバーの姿を見たりして、諦めずトレーニングを継続することができました。ドリームチームであることの責任と誇りがメンタルを支えてくれたと思います」
「チームに加入したことで、歴代メンバーをはじめ新たな出会いも多くあったので、ロードバイク活動の幅が広がり、今後さらに自転車を楽しめるのではないかと思います。来年の富士ヒルに向けて、確実にシルバーを獲れる脚力を身につけることを目標に努力を続けます」

富士ヒルEXPOの登壇イベントで決意を語る510さん
「新たな目標ができました」(MIKKOさん)
「やりきった!!という気持ちが大きいです。目標のブロンズには3分半届かず、悔しい気持ちもあるのですが、昨年のタイムから16分も自己ベストを更新したのは、120%の力を出し切った結果だと思っています」
「チームに所属すること自体が初めてだったのですが、ドリームチームでの活動を通じて『仲間の存在の大きさ』を心から実感しました。私は今年、チーム唯一のブロンズ目標で、エントリーロードに乗り、機材も実力も圧倒的に初心者。それでもチームの皆は、本当にたくさんのことを惜しみなく教えてくれました。タイヤ、チューブ、ホイールの選び方から、チェーン落ちしないギヤの変え方、風向きの読み方、おすすめのマッサージガンまで。おそらく私が一番たくさん質問していたと思いますが、皆いつも親身になって答えてくれました。有志で行った伊豆合宿や練習会でも、遅れてしまう私を励ましてくれたり、一緒にパックを組んでくれたりと、たくさんの支えがありました」
「また、チームの活動についてSNSで発信することで、SNS上のつながりもぐっと広がりました。さらにドリームチームのジャージを着てイベントや試走に参加すると、『応援してます!』と声をかけていただくことも多く、このチームがどれだけ多くの人に愛され、注目されているのかを改めて感じました」
「それによって、自分でも驚くほど成長できたと思います。この4ヶ月を乗り越えることができたのは、間違いなくこのチームのおかげです。この経験を通じて、チャレンジしたい目標が3つできました。
1つ目は、『ロングライドや遠方のサイクリングを通じて、もっと自転車を楽しむこと』です。ドリームチームOGのかえんさん(年代別女子優勝おめでとうございます!)に、いろいろな遠方の楽しいイベントやおすすめのサイクリングスポットを教えていただきました。これからはそうした景色や出会い、自転車を通じた旅の魅力ももっと味わっていきたいと思います。
2つ目は、『チームに所属してもっともっと成長すること』。今回のドリームチームでの活動を通じて、自分が限界を超えて成長するには仲間の存在が欠かせないと強く実感しました。だからこそ、同じように前向きに取り組む仲間が集まるチームを探し、今後はそこでもっと自分を高めていきたいと思っています。
3つ目は、『いつかは富士ヒル年代別入賞!!』。ブロンズすら届かなかった今の自分には大きすぎる目標かもしれませんが、メンバーのまぬる猫さんやよめしーさんが表彰台に上がる姿を見て、大きな刺激を受けました。また、OBのたっくみんさんが年代別入賞を目指して見事ゴールドを獲得したのを見て、私もブロンズを取るためにはもっと高い目標を目指したほうがいいと感じています。だからこそ、今の自分にはまだ遠い『年代別入賞』という目標にも、思いきって挑戦していきたいと思っています」
「そして自転車以外のことでは―― 今回、チーム内外の本当に多くの方に支えていただき、応援の言葉をいただきました。だからこそ、これからは私自身が、周りの人を支えたり背中を押してあげられる存在になりたいです」

本番直前のスタートラインで笑顔を見せるMIKKOさん
「さらに強くなって、世界選手権へ」(よしたくさん)
「ドリームチームに所属して、メンバーのヒルクライムにかける思いの強さが印象に残りました。脚力も置かれた環境も異なる皆さんが、自身の目標に向けて試行錯誤される様子は、私としてもトレーニングに取り組む励みとなりました」
「初めての富士ヒルでしたが、当日は天候に恵まれて、いい景色の中を走ることができ、素晴らしい思い出になりました。カテゴリーは選抜でしたが、出場者のレベルの高さを痛感し、通常と異なる戦略が必要だと感じました。目標は達成出来なかったので悔しさは残ります。ヒルクライムはロードレースのように展開を読んで休む、ということができず、パワーの誤魔化しが効きません。パワートレーニングなどを見直し、さらなる力をつけたいと思います。今後はUCIグランフォンド世界選手権への出場に向けて、まずはニセコクラシック、プレ大会となるツールド福島に挑みます」

ロードレースとは違った魅力を発見できたと語る、よしたくさん
「これは人生にも当てはまる」(なかせさん)
「初の主催者選抜クラスへの参加ということで、掛け値なしにトップレベルの選手たちと一緒に走れる機会を得られたのはとても嬉しく、最高の経験となりました。早々についていけなくなってしまったのが悔しくもありますが、反面、課題をたくさん見つけることができ、まだまだ自分にできることはあるのでは?と思えたのは何よりの収穫でした」
「みんなそれぞれ目標は異なりますが、同じ方向を向いて頑張る仲間であり、お互いを思いやり、支えあって最後まで駆け抜けることができました。個人的には、メンバーみんなの存在が心の支えとなってくれたからこそ、今回の富士ヒルは頑張ることができたと思います。今年は様々なことがあり、万全とは言えない状況下でのチャレンジとなりましたが、それでも最終的には完全燃焼できました」
「これはヒルクライムに限ったことではありません。人生の様々な場面にも当てはまることだと思います。これからも、置かれた状況がどうあれ、決して諦めずにチャレンジし続けていきたいですね!」

photo/Mt.富士ヒルクライム実行委員会
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