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プロトライアスリート古谷純平さんインタビュー(後編)/努力の天才が目指すもの

プロトライアスリート古谷純平さんインタビュー(後編)/努力の天才が目指すもの

日本選手権優勝、アジア選手権優勝、アジア競技大会2冠、日本ランキング3年連続1位など、トライアスリートとして輝かしい戦歴を誇る古谷純平さん。2024年には、それまでの主戦場だったオリンピックディスタンス(ショートディスタンス)からロングディスタンスへ転向し、プロトライアスリートとして再出発。2025年12月に開催されたアイアンマン(2025/西オーストラリア)では、7時間43分というアジア歴代最速タイムと3位表彰台を獲得し、大きな話題となった。ビオレーサーを着て戦うそんな古谷選手へのロングインタビュー。後編は、サブエイト達成という日本人初の快挙と、今後について。

※前編はこちら

新たな挑戦

オリンピックへの挑戦を終えた古谷さん。

「さて今後どうしていこうか、と。選択肢は3つありました。一つは競技を引退して三井住友海上の社員として働くこと。もう一つは三井住友海上のトライアスロン部のコーチになること。そして、ロングディスタンスへの挑戦。本当にいろいろと考えましたが、『今しかできないことはなにか?』と考えて、退社してロングへの挑戦を選びました」

そうして、2024年3月、退社を決意する。

「やりたいことを思う存分やらせていただけたことは本当にありがたかったです。一度も達成することができなかったオリンピックへの挑戦を、会社は全力で応援し続けてくれました。本当に感謝しかありません。その10年間があったからこそ、今またロングディスタンスへの挑戦という新しいステージに進めています。オリンピックへの挑戦というところだけを切り取ると、何一つとして達成できませんでしたが、恵まれた環境の中でやらせてもらえて、本当に幸せなオリンピックチャレンジだったと思います」

プロトライアスリートとして

そもそも、なぜそれまでの主戦場だったオリンピックディスタンス(ショートディスタンス/スイム1500m・バイク40km・ラン10km)からロングディスタンス(通称アイアンマン/スイム3.8km・バイク180km・ラン42km)へ挑戦するのか。

「理由は単純です。ここまでショートを突き詰めてやってきましたが、トライアスロンのトップオブトップは、やっぱりアイアンマンなんですよ。そのアイアンマンのなかでも、ハワイのコナ島で開催される世界選手権(通称「コナ」)を目指したいと思ったんです。その思いが自分の中でどんどんどんどん強くなっていって、社員になって働くとかコーチになるよりも、ロングに挑戦したいと」

退職し、スポンサーを募り、プロトライアスリートとして再出発をきる。

「ロングのデビュー戦が 4月の宮古島大会だったんですが、ぶっちぎりで優勝することができました。その2ヶ月後にオーストラリアのケアンズでアイアンマン(ワールド・トライアスロン・コーポレーションが主催するトライアスロンのシリーズ戦。その多くは毎年行われるアイアンマン世界選手権大会の予選となる)に初めて出たんです」

「そうしたらもう、どうにもならないぐらいバイクが通用しなくて。僕、一応国内ではバイクは無敵だと言われるレベルだったはずなんですが……。ロング転向後には、距離への耐性を付けようと低い強度で長時間の練習をしてきたんですが、根本的なバイクの走力を上げる必要があるなと。長さ耐性に振ってる場合じゃないと気付いて、違うアプローチで高強度をしっかり入れるというトレーニング内容にスイッチ。『ベストパフォーマンスを発揮し、日本人初のサブエイト(8時間切り)を達成する』を目標に半年間かけて強化をしました」

6月にトレーニング内容を変更。その3か月後の9月、佐渡で行われた日本ロングディスタンス選手権において、2位に50分もの大差を付けて優勝する。そして2025年12月、オーストラリア・バッセルトンで行われるアイアンマンを迎える。

 

日本人初の快挙

結果、サブエイト達成。アジアオセアニア選手権という肩書きのある大会で表彰台にも上り、ロング転向1年目にしてアイアンマン世界選手権(コナ)の出場権も獲得する。

この「日本人初のサブエイト」「しかも7時間43分」という記録が大きな話題となった。今まで日本人の最高記録は8時間13分。今年ロングディスタンスデビューをしたばかりのルーキーがいきなり30分も更新したのだから、当然である。

このアイアンマンで古谷さんはスイムを先頭集団の3番手で終えているが、そもそもスイムの段階で先頭集団に残れる日本人は今までいなかった。

次のバイク(180km)でも、12mを開けて集団が形成されるが(ドラフティングで車間を12m以上開けなければいけないというルールがある)、バイクの先頭集団に日本人が残ったことも衝撃を与えた。

それでは終わらず、最後のランでも勢いを維持し、表彰台を獲得する。それは3段階の衝撃だった。

オリンピック出場という夢はかなわなかったが、ロングディスタンス転向は、出来すぎなほどの成功でスタートしたのである。

「自分自身驚いています(笑)」

ロングに転向したばかりでこの結果。まだ伸びしろはあるはずだ。

バケモンたちを越えてゆけ

今後の目標は。

「最終的な目標としては、コナで8位以内に入ること。これはロングへの挑戦を決めたときに掲げた目標です。なぜコナ8位なのかというと、これまで日本人のコナでの最高位が9位なんです。それを更新したい」

「今年(2026年)はコナの出場権が取れました。コナで自分の強みである暑さ耐性を上手く使えれば、今年はトップ20くらいは狙えるんじゃないかと思ってます。将来的にトップ8は決して非現実的ではないと考えてます」

トライアスロンに打ち込んできた。今、世界が見えてきた。そんな古谷さんにとって、トライアスロンの魅力とは?

「努力で才能を凌駕できるところ」

古谷さんは即答した。

「僕は幼少期に競泳をやってました。中学高校と陸上競技もやってました。自転車も比較的得意です。でも、単一種目だったら、才能に恵まれすぎているバケモンってどこにもいるんですよ。『こいつらには努力では絶対に勝てない』っていうバケモンがやっぱりいる」

「ただ、トライアスロンに関しては3種目あるんです。各種目で、それぞれの一流に手が届くか届かないかぐらいのレベルに揃えられたら、トライアスロンでは日本のトップレベルになれる。その『一流に手が届くかどうか』というレベルまでは努力で持っていけると僕は思ってます。一種目だけだったら才能のバケモンがいて、それにはどうやっても勝てない。でもトライアスロンは3つあるからこそ、努力でバケモンたちを超えていける。それがトライアスロンの一番の魅力だと思ってます」

体形や筋肉の付き方などが原因で、日本人がスポーツという分野で世界のトップレベルに達することは決して多くない。パワーやスピードを競う種目に関してはなおさらだ。しかし古谷さんはトライアスロンという過酷な競技でそれを達成しつつある。

ロングディスタンスに転向してまだ2年に満たない古谷純平。努力の天才の可能性は無限だ。

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