サイクルウェア最大手BIORACERの「人・モノ・コトが紡ぐサイクリングの物語」

BIORACER

ビオレーサー・ウインターグローブ3種インプレ

ビオレーサー・ウインターグローブ3種インプレ

強度・剛性・安全性と軽さ。空力性能と汎用性・整備性。転がり抵抗とグリップ。俊敏性と安定性。性能と価格。自転車関連に限らず、世の中にはあっちを立てればこっちが立たずの相反条件だらけである。ウエアもしかり。特に保温・防風性能とフィット感・通気性・動きやすさを両立させにくくなる冬用のアイテムが難しい。オーダーウエアやエアロワンピースのイメージばかりが先行しているビオレーサー、実は小物類も充実している。寒くなって時間が経つが、グローブ、シューズカバー、キャップなどの冬用小物のインプレを数回に分けてお届けしたいと思う。第一回はグローブ3種。

Rain Proウインターグローブ

まずは冬用の定番グローブであるレインプロ。“レイン”が商品名に入っており、実際に防水素材が表面に用いられているため雨でも使えるが、雨天特化というわけではなく、冬季通して使えるモデル。

Rain Pro ウィンターグローブ

Rain Pro ウィンターグローブ¥11,800

 

内部にはたっぷりと中綿が使われており、手を入れると肌をしっかりと包み込んでくれる。手とグローブ内側が密着するので、体温が中綿に無駄なく移ってかなり暖かい。寝袋を使用するときは薄着のほうが暖かい理屈と同じだろうか。ただし動かしやすさは犠牲になっておらず、変速操作にストレスはない。

総じてバランスがとれたグローブで、あくまで主観だが0~10度のライドに適すると感じられた。S~XLの4サイズが用意されているのも美点。

人差し指はタッチフィンガー仕様になっており、メーターやスマホのタッチパネル操作が可能。

 

手の平部分はグリップに優れた素材。適度にパッドが配されており快適。

 

人差し指~親指の腹は補強されており、ロードバイクのレバーに最適化された設計。

 

Alaska Proウインターグローブ

アラスカのような極寒の場所でも走れる……とのことから名付けられたのだろう、ビオレーサーのラインナップの中で最も暖かいウインターグローブ、アラスカプロ。中指~小指の3本が一体となったロブスター型で、通常の5本指タイプと比べて表面積が小さくなるため保温性能が高くなる。

Alaska Pro ウィンターグローブ

Alaska Pro ウィンターグローブ¥15,000

 

レインプロ同様、中綿が分厚く手に密着してくれる。中指~小指の部分はグローブの中で別々の部屋に分かれており、装着感は普通のグローブとなんら変わらない。中指~小指が別々に動かせなくなるため違和感があるのかと思っていたが、ライド時に中指~小指をバラバラに動かすことはほとんどないため、全く意識せず使える。中指と薬指をレバーにかける人でない限り、違和感はないと思う。全体的な作りや生地のボリューム感はレインプロに似るが、さすがに暖かくレインプロよりさらに気温が数度低くても対応できそう。

手の平部分のグリップは非常に高く安心してライドができる。人差し指はタッチパネル対応。一体となっている中指~小指だが、中で1本ずつ分かれているため違和感なし。

 

手首部分は長く密着する作りなので、冷気が侵入しにくい。

 

未使用時にグローブをまとめておける「イージークリップシステム」付き。また、内側にカイロなどを収納できるポケットが付いている。

 

Neopreneウインターグローブ

上記2つにグローブとは性格が大きく異なるネオプレーンウインターグローブは、商品名のとおりネオプレーン素材でできたグローブだ。

Neoprene ウィンターグローブ

Neoprene ウィンターグローブ¥15,000

ネオプレーンとは、内部に小さな気泡を含んだ合成ゴムのこと。気泡があるため保温性に優れ、軽く、防風性・防水性もある。伸縮性にも富むため、釣り・ウインタースポーツ・マリンスポーツなどに用いられることも多く、代表的なものにウェットスーツがある。

平面状のネオプレーンを2枚縫い合わせたのではなく、手指の形に合わせて立体的に作られており、装着しても突っ張り感は少ない。内側はネオプレーンむき出しではなく起毛素材が使われているが、レインプロのような中綿はないため、手を入れた瞬間の温かさはレインプロのほうが上だが、ネオプレーンは防風性が非常に高いので、長時間走っても手が芯まで冷えにくい。ただ、ネオプレーンは防風性と引き換えに通気性に劣るので、汗をかくと蒸れやすい。薄手のインナーグローブと併用するといいかもしれない。ネオプレーンの特性からすると、このグローブは雪や冬の雨、防風から手を守るためのやや特殊な用途のために作られたものだろう。

手の平の生地にはグリップが配されている。

 

3枚の生地を縫い合わせてできているが、縫い目の糸は裏面に露出しておらず、生地と生地は融着されているようだ。これなら縫い目から水が侵入する心配はなさそう。

 

手首部分はかなり長め。

 

その昔、冬はロードレースのオフシーズンで、数週間自転車に全く乗らない選手も存在したというが、今はウエア類の進化もあって冬でもライドを欠かさない選手が増えた印象だ。ビオレーサーがサポートするチームの冬練には、当然ビオレーサーのグローブが使われる。

体の末端であり、表面積が多く、それなのに繊細な動きが必要とされる手先。真っ先に風を切り、グリップも犠牲にできず、変速やブレーキなどの操作もしなければならない自転車におおいて、グローブの出来不出来はライドの質を大きく左右する。いいウエアを使うことで可能になった冬のライドは、現代ならではの贅沢な一日だ。

PAGE TOP